株式会社村田製作所
<新製品ニュース>
村田製作所 IoTデバイス向けWi-Fi HaLow™対応通信モジュール
株式会社村田製作所
耐環境性に優れたIoTデバイス向けWi-Fi HaLow™対応通信モジュールを開発
2024/12/05
株式会社村田製作所
代表取締役社長 中島 規巨
主な特長(抜粋)
- 長距離通信と低消費電力の実現
- NEWRACOM社の最新チップ「NRC7394」を搭載
- 優れた耐環境性を実現
株式会社村田製作所(以下、「当社」)は、1km以上の長距離での高速データ転送を実現するWi-Fi ®規格「Wi-Fi HaLow™※1」に対応した通信モジュール「Type 2HK」「Type 2HL」(以下、「当製品」)を開発しました。当製品はArm®Cortex®-M3プロセッサを使用した、NEWRACOM Inc.(所在地:アメリカ・アーバイン、CEO:Sok Kyu Lee、以下、「NEWRACOM社」)製のNRC7394チップセットを搭載しています。量産開始は2025年下半期を予定しています。
- ※1Wi-Fi HaLow™:産業用や科学用、医療用に利用可能な周波数帯(900MHz帯)を利用する、免許の取得不要で利用可能なWi-Fi/IP通信ベースの長距離無線通信規格。「IEEE 802.11ah」として、IoT通信システムへの適用に向けて標準化されている。最大数kmの範囲内において1MHz~4MHzの帯域幅で理論上最大80Mbpsでの無線データ伝送が可能。
さまざまな産業でDXが進む中、IoT端末の設置が加速し、大容量のデータを高速かつ長距離で転送する需要が高まっています。しかし、その要求に応える無線通信技術は多くありません。そうした中で注目されている通信規格がWi-Fi HaLowです。
今回、当社はWi-Fi HaLowに対応した表面実装タイプの無線モジュールを開発しました。出力強化用パワーアンプ搭載の「Type 2HK」と非搭載の「Type 2HL」の2品種です。これらは、当社が培ってきた設計・実装・生産・品質管理技術によって実現された、耐環境性に優れ、故障が少ないモジュールです。また、量産時には1台ずつ出力調整を行うため通信出力にばらつきがなく、多様なユースケースでの利用が想定されるIoTデバイスにおいて安定した通信を実現します。さらに、チップセットにはWi-Fi HaLow向け半導体チップで業界をリードするNEWRACOM社の最新チップ「NRC7394」を搭載しています。
NEWRACOM社 CEO and ChairmanのSok Kyu Lee氏のコメント:
「NRC7394チップセットは、IoTアプリケーション向けのWi-Fiの未来を象徴しており、低消費電力と拡張された通信範囲を備えています。私たちの技術を村田製作所の新しいモジュールに統合することで、信頼性が高く効率的な無線通信を実現する強力なプラットフォームを幅広い産業に提供しています。このモジュールが次世代IoTソリューションの採用促進に寄与することを楽しみにしています。」
当社は、今後も市場ニーズに対応した高品質かつ高信頼性の製品ラインアップの拡充に取り組み、技術革新に貢献していきます。
主な特長
- 長距離通信と低消費電力の実現
Wi-Fi HaLowは、一般的なWi-Fiが利用する2.4GHz帯や5GHz帯とは異なるサブ1GHz帯(900MHz帯)を使用しているため、1km以上での高速通信が可能です。この特性により、データ転送時の消費電力を大幅に削減できるため、高効率なデータ通信環境を提供します。 - Wi-Fi/IP通信プロトコルをそのまま利用可能
Wi-Fi HaLowは、IP(Internet Protocol)を利用する通信規格であるため、既存のWi-Fiソリューションを置き換えて、長距離データ転送を可能にするIoTネットワークを構築することが可能です。 - 低コストなプライベートネットワークが構築可能
Wi-Fi HaLowを利用して構築するネットワークでは、通信キャリア管理下の基地局を利用する必要がありません。このため、通信コスト削減が図れ、ユーザーによる独自管理も可能になります。 - NEWRACOM社の最新チップ「NRC7394」を搭載
チップセットにはWi-Fi HaLow向け半導体チップで業界をリードするNEWRACOM社の最新チップ「NRC7394」を搭載しています。 - 優れた耐環境性を実現
産業機器で求められる-40~+85℃の動作温度に対応し、厳しい耐環境試験にも合格した高信頼性のモジュールです。 - 安定した通信を実現
1台ずつ出力調整を行い出荷することで、多様なユースケースや場所での利用が想定されるIoTデバイスにおいて安定した通信を可能にします。 - 電波法認証取得済み
北米と日本での電波利用に向けた認可を取得予定※2です。そのため、別途認可取得作業を行う必要がなく、IoTデバイス設計プロセスを合理化し、市場投入までの時間短縮にも寄与します。
- ※2出力強化用のパワーアンプを搭載したType 2HKは、ISM帯の利用に関する法規制上、北米とオーストラリアのみで利用可能です。
主な仕様
製品名 | Type 2HK | Type 2HL |
---|---|---|
パワーアンプ | 搭載 | 非搭載 |
品番 | LBWA0ZZ2HK | LBWA0ZZ2HL |
無線LAN | IEEE 802.11ah SISO※3 | |
使用周波数帯 | 902MHz~928MHz | 750MHz~950MHz |
チップセット | NEWRACOM NRC7394 | |
ホストインタフェース | SPI | |
周辺インタフェース | SPI, UART×2, I2C×2, 10ビットADC×2ch, GPIO | |
プロセッサ | Arm®Cortex®-M3(Wi-Fi制御およびユーザーアプリケーション向け) | |
大きさ(mm) | 18.0 mm(Typ.)×14.0 mm(Typ.)×2.3 mm(Max.) | |
使用可能温度 | -40℃~85℃ | |
認証取得地域 | 米国/カナダ | 米国/カナダ/日本 |
- ※3SISO:Single Input Single Outputの略で、無線通信システムにおいて1つの送信アンテナから1つの受信アンテナにデータを送信するアンテナ構成方式。
主な応用
スマートホームなどに関連する民生機器、スマートシティ、スマートビルディング、スマートリテール、スマートファクトリー、スマート農業、セキュリティカメラ、社会インフラ管理、業務用機器、産業機器、医療機器
ムラタについて
村田製作所はセラミックスをベースとした電子部品の開発・生産・販売を行っている世界的な総合電子部品メーカーです。独自に開発、蓄積している材料開発、プロセス開発、商品設計、生産技術、それらをサポートするソフトウェアや分析・評価などの技術基盤で独創的な製品を創出し、エレクトロニクス社会の発展に貢献していきます。
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