ローム株式会社
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波長の温度依存性を66%減少させたことで測定距離を大幅にアップ! LiDAR用120W高出力レーザーダイオード「RLD90QZW8」を開発 発光幅の97%で均一な発光強度を実現しており、LiDARの高精細化にも貢献

ローム株式会社

※2023年9月28日ローム調べ
2023年9月28日

<要旨>

RLD90QZW8

ローム株式会社(本社:京都市)は、距離測定・空間認識用LiDARライダー*1を搭載する産業機器分野のAGV(Automated Guided Vehicle / 無人搬送車)やサービスロボット、民生機器分野のロボット掃除機などに向けて、高出力半導体レーザーダイオード「RLD90QZW8」を開発しました。
「RLD90QZW8」は、3D ToFシステム*2を用いて距離測定や空間認識を行うLiDAR向けに開発された、赤外120W高出力レーザーダイオードです。独自の素子開発技術により、レーザー波長の温度依存性を一般品比66%減となる⊿11.6nm(平均0.10nm/℃)まで低減させています。これにより、バンドパスフィルター*3の狭小化に寄与するため、LiDARの遠方検知に貢献します。また、業界最小クラスの発光幅270µmでありながら、発光幅の97%にあたる264µmの領域で均一な発光強度を実現しており、LiDARの高精細化にも貢献します。さらに、新製品は高い電力光変換効率(PCE)も実現しており、高効率な光出力が可能となることから、LiDARの低消費電力化にも貢献します。
その他、新製品の評価・導入に必要となる豊富な設計データをローム公式Web上に無償公開しており、素早い市場導入をサポートします。LiDAR用途でのレーザーダイオード駆動には、ナノ秒オーダーの高速スイッチングも必要となりますが、ロームが開発したEcoGaN™シリーズの150V GaN HEMT、及びゲートドライバを組み合わせたリファレンスデザイン「REFLD002」もローム公式Web上で公開しています。
新製品は、2023年9月よりサンプル出荷を開始(サンプル価格 3,500円/個:税抜)しており、2023年12月より当面月産20万個の体制で量産を開始する予定です。なお、現在ロームは、製造工場において前工程・後工程とも車載品質マネジメント規格のIATF 16949*4を取得。車載対応(AEC-Q102*5準拠)に向けたレーザーダイオードの製品開発も進めており、2024年度中の製品化を予定しています。

 
「RLD90QZW8」のレーザー波長について

<背景>

近年、AGVやロボット掃除機、自動運転車など、動作の自動化を必要とする幅広いアプリケーションで、正確に距離測定・空間認識を行うことができるLiDARの採用が進んでいます。その中で、「より遠く」まで、「より正確」に情報を検知するため、光源となるレーザーダイオードには出力と性能の向上が求められています。
ロームは、LiDARの長距離対応・高精度化に貢献できる、レーザーの狭発光幅化を実現する独自の特許技術を確立。2019年に25Wレーザーダイオード「RLD90QZW5」、2021年に75Wレーザーダイオード「RLD90QZW3」を開発しています。今回、市場からの更なる高出力化ニーズの高まりを受けて、120W出力が可能な新製品を開発しました。

<LiDAR向け高出力レーザーダイオードのラインアップ>

品番 データ
シート
パッケージ
サイズ
絶対最大定格(Tc=25℃) 電気的光学特性(Tc=25℃)
IF
[A]
PO
[W]
VR
[V]
動作温度
範囲
[℃]
IF
[A]
PO
[W]
VF
[V]
垂直ビーム
拡散角度
Θ⊥ [deg.]
水平ビーム
拡散角度
Θ// [deg.]
ピーク
波長
[nm]
発光エリア
[μm×μm]
NewRLD90QZW8 PDF Package
Φ5.6mm
CAN
46 145 10 -40

+85
38 120 13 20 11 905 270×10
RLD90QZW3 PDF 28 90 2 23 75 11 25 12 225×10
RLD90QZWD PDF 13 40 12 35 13 100×10
RLD90QZWB PDF 11 25 9 25 13 14 50×10
RLD90QZW5 PDF 9 14 12 70×10
RLD90QZWC PDF 11 30 11 13
RLD90QZWJ PDF 9 25 15 20 14 50×10
RLD90QZWA PDF 6 17 5 15 13 35×10

<アプリケーション例>

民生機器:ロボット掃除機、ゴルフレーザー測距計
産業機器:AGV・サービスロボット、3D監視システム(人・物検知用センサ)
など

<サポートページ>

新製品では、評価・導入に必要となる駆動回路の設計手法を記載したアプリケーションノートや、基板開発用のデータ、シミュレーション用のモデル(SPICEモデル、Rayデータ)など、豊富な設計データをロームの公式Web上に無償公開しており、素早い市場導入をサポートします。詳細は下記URLをご覧ください。
■RLD90QZW8製品ページ
https://www.rohm.co.jp/products/laser-diodes/high-power-lasers/rld90qzw8-product#productDetail

<リファレンスデザイン情報>

新製品およびロームが開発したEcoGaN™シリーズの150V GaN HEMT、高速ゲートドライバ「BD2311NVXシリーズ」を搭載したLiDAR向けリファレンスデザインをロームWebにて公開しています。
●リファレンスデザイン品番
REFLD002-1<矩形波型回路>
(120W出力レーザーダイオード「RLD90QZW8」搭載)
REFLD002-2<共振型回路>
(75W出力レーザーダイオード「RLD90QZW3」搭載)

・「EcoGaN™」は、ローム株式会社の商標または登録商標です。

LiDAR向けリファレンスデザイン

<用語説明>

*1) LiDAR(ライダー)
Light Detection And Rangingの略で、ToFシステム(光源およびToFセンサやイメージセンサ)などを用いて構成され、周囲の状況をセンシングするアプリケーションのこと。
*2) 3D ToFシステム
ToFはTime of Flightの略称で、光源となる光の飛行時間を測ることで距離を割り出し、空間をセンシングする手法。それを用いて3D(3次元)の空間認識・距離測定を行うシステムのこと。
*3) バンドパスフィルター
特定の光の波長帯の信号だけを通過させるフィルターのこと。オプティカルデバイスにおいては、バンドパスフィルターの範囲が狭ければ、ピーク波長に近い光のみを効率的に取り出すことができるため、太陽光などの外乱光ノイズの影響を極小化でき、同じ距離であれば低消費電力化が、同じ光出力であれば距離の伸長が可能となる。
3D ToFを使ったLiDARの仕組みとバンドパスフィルターについて
*4) IATF 16949
IATFはInternational Automotive Task Forceの略で、自動車産業の品質マネジメント規格の一つ。国際標準規格であるISO 9001をベースに、自動車産業固有の要求事項が追加されており、IATF 16949に準拠することで、自動車メーカーやサプライヤーは、国際的な品質基準を満たすことができる。
*5) AEC-Q102
AECはAutomotive Electronics Councilの略で、大手自動車メーカーと米国の大手電子部品メーカーが集い、制定された車載用電子部品信頼性規格。Q102は、特にオプトデバイスに特化した規格となっている。

<紹介動画>

<新製品プレゼン"Featured Products">

Featured Products
波長温度依存性を66%低減し、LiDAR性能を劇的に向上!
905nm帯 120W高出力レーザーダイオード
RLD90QZW8(PDF:1.4MB)


半導体・電子部品に関するお問い合わせ:

  TEL:052-332-2500

ローム株式会社|取扱メーカー紹介|


この情報は、ローム株式会社のホームページに基づいて掲載しており、最新の情報は下記URLからご確認ください。

https://www.rohm.co.jp/news-detail?news-title=2023-09-28_news_laser-diode&defaultGroupId=false